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NO.21 今年(2004年)4月1日より、電子基準点データ‐の取得方法が画期的に改良されました。
 6時間ごとの最新の観測データ‐が、3時間ごとに重複して、国土地理院のホームページに登録されますので、ユーザーが観測終了後3〜5時間後には、電子基準点データ‐をダウンロードし、解析作業を開始することが可能です。今までは、3〜4日後でしたから、GPS測量が増々便利になります。なお、午前9時を跨ぐ6時から12時のデータ‐ファイルが追加されたことで、午前9時を跨ぐ観測も、特段の心配をせずに出来るようになりました。このことと合い待って、十分な精度を持つ「登記基準点」の設置も、一台の受信機を観測点に置くだけの方法で、さらに機動的に出来ます。項を改め後日、1点についてどれくらいの観測時間が必要か、精度の検証と共に、観測の注意すべき点など、現在行なっています実験について記述したいと思います。
   2004.4.2

NO.22 -電子基準点のみを既知点とする、45分間の定点(繰返)観測実験-

 (A)3月25日夕刻から27日早朝の約36時間に於いて24セッション
 (B)4月2日午後から3日早朝の約20時間に於いて12セッション
 (C)4月5日夕刻からから7日夕刻までの約48時間に於いて27セッション
 
 場所は、直近の電子基準点から10Km少々の地点で、天空障害はほとんどない地点で行いました。
 
 結論から言いますと、1日から2日くらいの間では、各点間較差は甲1の公差の範囲内です。しかし日によってバラツキの大きさが異なります。さらに、バラツキの中心となる点が、やはり甲1の公差の範囲内くらいで移動します。
 言い換えますと、(A)については、各点ごとのバラツキは非常に小さいですが、最初の18時間と後の18時間とでは、分布する範囲が分離しています。中間の12時間をとってみれば、その両方に分布します。
 (B)の各点は、比較的にバラツキが大きいと言えます。
 (C)については、大多数の点が非常に小さいバラツキで1箇所に集まっていますが、2〜3点、比較的に大きく離れた位置に分布しています。

 今度の実験から、45分程度の観測でも、衛星数が多く(6〜7個以上)、種々観測条件が良好であれば、驚くほど精度良く、再現性に於いても良好であることがわかりました。点間の相対的誤差について、24時間とか48時間以内くらいに観測した点同士であるほうが、それ以外より概ね、良好だということもわかりました。
                                                2004.4.14

NO.23 -1台の1級GPS測量機による後処理仮想基準点方式の、3,4級基準点測量-
     夢の測量方式が現実に!

 数個の既知点に整合する3〜4級基準点の設置が、1点につき数分の観測で可能です。各点の精度は、1点につき、2時間以上観測する1級基準点に及びませんが、データ‐の取得間隔を30秒から1秒に変更することで、短時間でも、フィックス解を得るのに必要なエポック数の確保が可能で、60〜120秒観測すれば、効率よく観測成果を得ることが出来ます。しかし、観測の環境の突然の悪化等に対処するためと、観測値の点検の為、数分以上の観測をします。1点について数分の観測で観測が終了すること、及び必要な測量機器は、アンテナと受信機1台のみであること、それでいて、リアルタイムではないにしても、観測終了後事務所のパソコンで、直ちに計算(解析)が出来ること、等、この方式の測量には大変メリットがあります。
 なおデータ料が、1分84円かかりますが、実観測時間のみで済ませることも可能すので、1点につきタバコ(?)箱分で済みます。是なら、十分採算が合うのではないでしょうか。
    2004.5.10
   注意!この方法の場合(観測時間が極端に短い)、2周波の短縮スタチック観測(解析)が必要条件のようです。1周波観測(解析)ですと、ミスフィックス(見かけは全く異常でないのに異常な結果になる)を頻発します。点検は、計算に使用するデータ‐を変えて(異なるエポック、エポック数で、場合により異なるエポック間隔で)再計算します。較差が、X、Y座標値で20mm,(H座標値は20〜30mm)以内(標準)であればミスフィックスでないと判断できます

 しかし現実問題として、条件が良ければ、1点につき2時間とか40分とかでなくても、20分以上の観測で、たいていの場合、周囲の電子基準点データ‐を使用して、十分に1級基準点の精度をもつ観測成果を得ることができます。
 どういう方法を採用するか、考えるところです。

NO.24 -電子基準点相対位置経年変化:「大田」を中心として(2)-

 NO16、17 において、半年後もう一度変化量を点検するとしていました。結論から言いますと、昨年12月までの半年の動きは、少し異常であったと思われます。半年後の、今年5月の時点では、1年前の状態に、ほぼ戻りました。戻ることにより、大田・出雲・仁多間は、1997年1月以来の相対的位置の変化は1cm前後で、ほとんど変化無し(非常に安定している)と言えます。大田・赤来・石見・江津間は、4cm前後ですが、大田に対して時計回りに回転する動きは、前回同様に認められます。別紙 のとおりです。 なお国土地理院において、電子基準点日々の座標値の解析方法を変更されることに伴い、今後は新しい座標値(F2)にもとずいて点検することになります。絶体移動量は、基準移動量(大田)を加えたものになります。
 
    1997年1月1日より2004年5月1日(〜5日の平均)の
    「大田」の動きを0に固定したときの、各点の変動量(m) 

    -国土地理院;電子基準点日々の座標値(F1)による-
出雲 仁多 赤来 石見 江津 基準移動量(大田)
X座標 0.006 0.003 -0.034 0.006 0.015 -0.125
Y座標 -0.005 -0.015 -0.030 -0.039 -0.036 0.207
H座標 -0.018 0.065 0.057 0.063 0.080 -0.061
                  2004.6.21

NO.25 -電子基準点相対位置経年変化:「大田」を中心として(3)-

 最近公開された、国土地理院;電子基準点日々の座標値(F2)による計算をしてみました。条件は、前項の場合と全く同じです。      

   -国土地理院;電子基準点日々の座標値(F2)による-

      1997年1月1日より2004年5月1日(〜5日の平均)の
      「大田」の動きを0に固定したときの、各点の変動量(m)
出雲 仁多 赤来 石見 江津 基準移動量(大田)
X座標 -0.012 0.010 -0.032 -0.013 -0.006 -0.094
Y座標 0.007 0.000 -0.014 -0.030 -0.024 0.190
H座標 -0.028 0.054 0.055 0.058 0.026 0.016

 前回同様に、模式図で表現しますと-別紙-のようになります。F1による場合と少し様相が異なりますが、基本的には同じです。出雲と仁多が相互に少し接近しました。また、仁多を除く出雲を含めた各点に、時計回りの回転が認められます。なお標高については、電子基準点成果数値の改定が、7月1日予定されていますので、それを見たいと思います。
                  2004.6.24

  7月1日改定された各電子基準点の標高値(高く改定された場合は+)    (m)

大田 出雲 仁多 赤来 石見 江津 松江 三隅 芸北
-0.05 -0.04 0.00 -0.01 -0.02 +0.02 -0.03 -0.09 0.00

2004.7.2

(注) これら公式成果値の変更は、「F1」で計算した変動量を打ち消すような改定である事は、計算数値からよく理解できます。しかし「F2」による計算結果数値からは、全く(又はほとんど)理解できません。この事については、今後の課題とします。  2006.1.9